”お手当”という、手をかざす治療について。

特別な薬や、治療ではなく「手当て」というものについて、

今日はいい資料もあったので記述しておきます。

 

少しの体調不良などの相談には、日常の生活習慣から

食事、運動、マッサージ、などのアドバイスをすることができますが、

病院や介護施設になると、それだけではどうしようもない、

緊迫した状況やただ立ちすくしかない状況、という場面にでくわします。

 

その度に、自分のできることの限界にぶち当たることが多々あるのですが、

「手当て」の世界に目を向けると少しだけ道がひらけてきます。

 

手当の効果については、多くの研究結果でも証明されていて、

具体的な症状緩和としては以下が挙あげられます。

 

・呼吸が安定し、心拍数と血圧が低下する

自閉症の症状が改善する

・手足の冷えの改善

・疲れやイライラの改善

・不眠

・むくみ

パーキンソン病による手足の硬直の改善

アルツハイマー病による睡眠障害の改善

 

また、手当てやマッサージをするときのポイントは、

秒速5センチのスピードで触られると気持ちがよく、

もっとも副交感神経の機能が高まり、リラックス効果があるそうです。

 

メカニズムとしては、この速度で触れることにより、

「C触角繊維」と呼ばれる神経がもっとも興奮し、

その興奮は細い神経を伝って脳へゆっくりした速度で届き、

呼吸や血圧など、生きるのに必要な部分を司る脳幹や、

感情に関わる扁桃体、自律神経やホルモンの調整を司る視床下部など、

広範囲の脳部位を刺激します。

それにより体全体のホメオタシス

(体温や免疫力、血糖などすべてを一定の範囲内に保つ機能)や

アロスタシス

(ストレスを受けた時に生じる体の変化を元に戻す機能)が

一定に保たれることになります。

 

また、5分以上触れていることで。

「愛情ホルモン」オキシトシンが分泌され、

心地よさや安心感を感じられ、

より一層体や心の痛みが癒されていきます。

 

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人の手には、精神を安定させ、心に寄り添い、

体を癒すそんな不思議な力がある

桜美林大学教授 山口創

 

心と体が連動した手当てが、医療の出発点でありながら、

実は最終到達点だとも思うのです。

東京大学医学部付属病院循環器内科助教 稲葉俊朗

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全ての癒しのスタートでありゴールでもあるという、

とても簡単にできるのに忘れ去られている、

大事な”手当て”というものについて、

今度も施術と平行してもっと活かしていけたらと思っています。